立憲民主党は14日、夏の参院選の鹿児島選挙区(改選数1)で、自民党の尾辻秀久前参院議長の三女で無所属での出馬を表明した朋実氏(43)を推薦すると決定した。朋実氏は立民の鹿児島県連に入党届を提出し受理された。立民は政治資金の親族間での相続を禁じる法案提出を主導するなど世襲の弊害を訴えており、党の主張との矛盾を指摘されそうだ。
「世襲にあたらず」と強調
立民の大串博志代表代行は同日の常任幹事会後、朋実氏の推薦理由について「社会に関する考え方、政治に関する思いなど、私たちとかなり相通じるものがある」と述べた。朋実氏は父親が政治家の「世襲」だが、大串氏は野党系無所属として出馬することから「新たなチャレンジと捉えている」と語り、党が問題視する世襲にはあたらないと強調した。
さらに、党が掲げる世襲制限との整合性については、「私たちが問題であると指摘する世襲は自民党政治の中で、同じ党籍でそのまま『地盤、看板、カバン』を引き継ぐというものだ」と語った。
立民は昨秋の野田佳彦代表の就任以降、世襲批判を強め、先の衆院選でも自民批判の一環として取り上げてきた。野田氏は自身がたたき上げであることから、世襲は政界への多様な入り口が閉ざされるなどと指摘。衆院選の広報用の動画でも「裏金も世襲もないクリーンな国へ」と訴え、自民の世襲を追及してきた。
「立民は良い」は分かりにくい
とはいえ、立民の党内には自民同様、親族の「地盤、看板、カバン」を引き継いだ世襲政治家は少なくない。立民の小川淳也幹事長は14日の記者会見で、朋実氏への推薦と党が掲げる世襲批判との矛盾を問われ、「世襲政治家が多すぎる現状は由々しき事態であり、世襲制限という方向感に大きく賛同する立場だ」と述べた。一方で、党内の世襲政治家に配慮したのか、「世襲を全く国会から排除するという立場には立たない」とも付言した。
「世襲の禁止など本質的な政治改革を自らの手で実現をしていきたい。世襲の金魚たちに立ち向かっていくドジョウでありたい」
野田氏は昨年8月、千葉県習志野市で党代表選への出馬を表明した際、世襲制限への強い思いを述べた。立民関係者は「自民の世襲は悪で、立民は良いという理屈はわかりにくい。ダブルスタンダードではないか」と疑問を呈した。
原文出處 產經新聞