『台湾文学の中心にあるもの』(イースト・プレス、1月28日刊行予定)の見本が完成しました。予約は可能ですが、書店に置いていただけるのは1月末になるようです。
本書では、日本語で読める約50冊の台湾文学を紹介しました。翻訳者のみなさんに心より感謝いたします&勝手に引用させていただき申し訳ありません。
目次は一晩で浮かんだのに、いつのまにか一年半も経っていまいました…
しばらく宣伝ばかりになると思いますが、お付き合いくださいますようよろしくお願いします。
(娘が出版社は無印良品?と言っていますが😆違います!!本書はかなりエッジを立てていますのよ!!)
https://www.eastpress.co.jp/goods/detail/9784781624150
目次
はじめに──日本文学には政治が足りない?
第1章 同性婚法制化への道は文学から始まった
同性婚法制化への第一歩──『孽子(ニエズ)』
文学だからゲイ(禁忌)の物語を社会に発信できた
「同志」がすべての性的マイノリティを包括する言葉になるまで
レズビアンは自死を選ぶしかないのか──『ある鰐の手記』
台湾で同性愛の物語としても読まれた『ノルウェイの森』
白色テロのトラウマとゲイの息子と母──『花嫁の死化粧』
個人の物語から社会を語り始めたLGBTQ+文学──『次の夜明けに』
マイノリティの連帯――さまよえる故郷喪失者──『惑郷の人』
自死しないレズビアン文学の誕生──『向日性植物』
それでもゲイカップルがレズビアンカップルより圧倒的に少ない理由──『亡霊の地』
百合小説だからこそ回収されない関係性──楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』
第2章 女性国会議員が40%以上を占める国の文学の女性たち
衝撃のフェミニズム小説──『夫殺し』
私たち女性の台湾物語historyからherstoryへ──『迷いの園』「眷村の兄弟たちよ」
男性作家は台湾女性をどう描いてきたのか──『シラヤ族の末裔・潘銀華』『客家の女たち』
台湾映画で描かれる日本のタレントとAV女優
衝動的な欲望にまっすぐに生きる現代の女性たち──『愛しいあなた』
女性作家の自殺と#MeToo──『房思琪の初恋の楽園』
Netflixからの#MeToo
第3章 文学は社会を動かし、その瞬間をアーカイブし続けてきた
台湾文学といえない時代の郷土文学──「さよなら・再見」、「りんごの味」
表現の自由がないからこそ文学として書き留める──「山道」
二二八事件を誰が書くのか
名前を奪われ続けた先住民たち(先住民正名運動)──「僕らの名前を返せ」
作家と読者が寝食を共にする文学キャンプがなぜ台湾で興り、盛んなのか
311の教訓は台湾で生き続ける(反原発運動)──『グラウンド・ゼロ 台湾第四原発事故』
ひまわり学生運動三日目にSNSに大御所詩人が投稿した詩「今夜、彼らのために祈ってください」
移行期正義の表現──台湾の現代史がまるごとわかる『台湾の少年』
第4章 日本統治期が台湾文学にもらしたもの
なぜ台湾語の表記が確立できなかったのか
日本語教育を受けた作家たちは戦後の中国語社会をどう生きたのか
「皇民作家」としてスケープゴートにされた周金波
中国を学び書き続け、言語を超えた創作活動を行った作家──鍾肇政
発表媒体がないにもかかわらず日本語で書き続けた作家──黄霊芝
南洋での戦争体験を書く──『猟女犯──元台湾特別志願兵の追想』
なぜ被植民経験のない作家たちが日本統治時代を書くのか
「天然独」世代によりフラットに描かれ始めた植民差別──『台北野球倶楽部の殺人』
司馬遼太郎『台湾紀行』から30年、小林よしのり『台湾論』を超えられなかった日本社会
第5章 ダイバーシティな台湾文学の表記と翻訳の困難
台湾文学は何語で書かれているのか、戦後の中国語の作家と読者の量産計画と中国語では表現し得なかったもの
言文不一致の台湾の現実社会をそのまま書き表すことは可能なのか
天野健太郎訳『歩道橋の魔術師』をもし松浦恆雄・西村正男(関西弁)、倉本知明(瀬戸内方言)、山口守・三須祐介(標準語)が訳したら?
新しい台湾文学の文字表記を模索する呉明益・甘耀明・楊双子・温又柔・李琴峰と翻訳の可能性と不可能性
呉明益『自転車泥棒』──台湾語のローマ字表記の日本語訳
甘耀明『真の人間になる』──読みが確立していないブヌン語の日本語訳
楊双子『台湾漫遊鉄道のふたり』──台湾語を書かない
温又柔『真ん中の子どもたち』──日本語+多言語作品の台湾版翻訳
李琴峰『彼岸花が咲く島』──作家自身による、作家自身にしかできない実験的な翻訳
東南アジアの母語で書く移民工文学賞とダイバーシティな台湾文学の挑戦
おわりに──台湾文学の中心にある政治との対話を経て
あとがき
本文脚注
主要参考文献
本書で取り上げた台湾文学作品
台湾年表
台湾の基礎知識
台湾文学マップ
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中文
《臺灣文學的核心有什麼?》
序言──日本文學缺乏政治性?**—
第一章 同性婚法制化的道路始於文學**
– 同性婚法制化的第一步──《孽子》
– 文學讓同志(禁忌)故事能夠傳播至社會
– 「同志」如何成為涵蓋所有性少數群體的詞語
– 女同性戀只能選擇自殺嗎?──《鱷魚手記》
– 在台灣被視為同志文學的《挪威的森林》
– 白色恐怖的創傷與同志母子──〈彩妝血祭〉
– 從個人故事開始討論社會的 LGBTQ+ 文學──《下一個天亮》
– 少數群體的連結──流離失所的故鄉喪失者──《惑鄉之人》
– 女同性戀文學的誕生,不再走向自殺──《向日性植物》
– 為何男同志情侶比女同志情侶明顯少──《鬼地方》
– 百合小說中無法收束的關係──《臺灣漫遊錄》
第二章 女性國會議員超過 40% 的國家,文學中的女性**
– 震撼的女性主義小說──《殺夫》
– 從「history」到「herstory」,台灣女性的故事──《迷園》、《眷村兄弟們》
– 男性作家如何描寫台灣女性──《西拉雅族後裔·潘銀華》、《客家女性們》
– 台灣電影中的日本藝人與 AV 女優
– 忠於衝動慾望生活的現代女性──《親愛的小孩》
– 女性作家的自殺與 #MeToo──《房思琪的初戀樂園》
– Netflix 與 #MeToo
第三章 文學推動社會,並持續記錄歷史瞬間**
– 無法稱為「台灣文學」時代的鄉土文學──〈莎喲娜啦.再見〉、〈蘋果的滋味〉
– 因無言論自由,唯有透過文學記錄──〈山路〉
– 誰來書寫二二八事件?
– 持續被剝奪姓名的原住民(正名運動)──〈恢復我們的姓名〉
– 作家與讀者共同生活的文學營,為何在台灣盛行?
– 311 的教訓在台灣延續(反核運動)──《零地點》
– 太陽花學運第三天,詩人於社群媒體發布的詩〈今晚,請為他們祈禱〉
– 轉型正義的表達──台灣現代史的完整再現《來自清水的孩子》
第四章 日本統治時期對台灣文學的影響**
– 為何台語的書寫系統無法確立?
– 受日語教育的作家如何在戰後的華語社會生存?
– 作為「皇民作家」的代罪羔羊──周金波
– 持續學習華語並書寫、超越語言創作的作家──鍾肇政
– 儘管缺乏發表管道,仍堅持以日語創作的作家──黃靈芝
– 書寫南洋的戰爭體驗──《獵女犯》
– 為何未經歷殖民的人開始書寫日本統治時代?
– 由「天然獨」世代重新描繪殖民歧視──《野球俱樂部事件》
– 司馬遼太郎《台灣紀行》三十年後,日本社會仍無法超越小林善紀的《台灣論》
第五章 多元化的台灣文學書寫與翻譯困難**
– 台灣文學究竟以何種語言書寫?戰後華語作家的產製與華語無法表達的內容
– 台灣社會的言文不一致,是否能完全書寫?
– 天野健太郎譯《天橋上的魔術師》,若由松浦恆雄・西村正男(關西腔)、倉本知明(瀨戶內方言)、山口守・三須祐介(標準日語)翻譯,會如何呈現?
– 探索台灣文學的新書寫形式:吳明益、甘耀明、楊双子、溫又柔、李琴峰,以及翻譯的可能與不可能
– 吳明益《單車失竊記》──台語羅馬字書寫的日語翻譯
– 甘耀明《成為真正的人》──尚未確立標準讀音的布農語日譯
– 楊双子《臺灣漫遊錄》──不寫台語
– 溫又柔《中間的孩子們》──日語+多語作品的台灣版翻譯
– 李琴峰《彼岸花盛開之島》──作家自身翻譯的實驗
– 以東南亞母語書寫的移工文學獎與台灣文學的多元挑戰
結語──透過與政治的對話,探尋台灣文學的核心**
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**附錄**
– **後記**
– **本文注釋**
– **主要參考文獻**
– **本書涉及的台灣文學作品**
– **台灣年表**
– **台灣基礎知識**
– **台灣文學地圖**
原文出處 赤松美和子